トピックス(2008年)

活断層巡検

大崎総合研究所の研究員は、断層調査の専門家をお招きして、2度の断層巡検を行いました。1度目の巡検は、箱根方面で行われ、国府津(こうづ)―松田断層帯、平山断層、丹那断層帯などを巡りました。専門家の先導の下に、断層崖を目指して山に分け入ったり、補助ロープを使って山中の急斜面を渓流までくだったりと本格的な巡検となりました。写真1のように平山断層の露頭では、左横ずれ成分をもつ逆断層が礫(れき)層を切っている様子がはっきりと見え、また直に断層粘土にも触れることもでき、礫岩を微細な粒子の粘土に変えてしまう断層運動のエネルギーの大きさを感じました。2度目の巡検は、新潟県と長野県で行われ、糸魚川―静岡構造線に沿って、フォッサマグナパーク、姫川沿いの崩壊地、牛伏寺(ごふくじ)断層、大峰帯の堆積物、白州断層(写真2)などを巡りました。2度の巡検でいずれの断層でも、机上で学んだ断層形成の論理と目前の断層形状とを比較しながら、地形変動や断層形成過程や断層の見分け方についての白熱した議論が交わされました。日常的に活断層マップを机上に広げ、断層の一部分をモデル化して地震動を計算していますが、実際の断層を前に日本列島形成の段階を改めて学習したことで、今後実体感を持って地震動に取り組んでいけると強く感じています。

コラム

同済大学(中国上海市)とのワークショップ中日減災国際学術討論会に参加して

2008年10月、第14回世界地震工学会議が中国北京市で開催されるのを機に、20年来の親交のある同済大学の羅教授のもとへお伺いし、中日減災国際学術討論会に参加しました。討論会では、研究紹介と人的交流を目的に、選抜研究員による口頭発表が行われ、充実した討論が交わされました。特に、5月12日の四川省地震の被害報告では、日本の報道よりも悲惨な映像もあり、われわれの耐震研究が中国の耐震化に少しでも役に立てばと願わずにはいられませんでした。二日目は、上海市内を案内いただきました。上海市では、2010年万博が予定されることもあり、市内各所で建設現場を多く見かけ、街全体が活気づいていました。