トピックス(2012年)

創立30周年記念講演会

2012年11月2日に、創立30周年記念講演会を日本工業倶楽部大会堂にて開催いたしました。カリフォルニア工科大学名誉教授の金森博雄先生からRole of Earthquake Science in the Modern Living Environment(現代社会における地震学の果たすべき役割)と題して講演いただきました。まとめでは「最も重要なことは、地震学者とエンジニアとの緊密で日常的な共同作業を通じて、リアルタイムに提供できる地震学的な情報を現代の工学的手法・技法と結び付けることです。」と強調されました。理学と工学のコラボレーションの必要性と展望を熱く語られ、230名の参加者には大きなエールが送られました。
1時間半の講演に続き活発な質疑が行われ、2時間に及ぶ講演会は大盛況となりました。
引き続き行われた懇親会(祝賀会)には160名の参加があり、親睦を深めるとともに金森先生と親しくお話しできる良い機会となりました。

房総半島の活断層巡検

2012年10月、地質の専門家の案内で房総半島の断層や津波堆積物、海底地すべりの断面など、多様な地質構造の巡検を行いました。館山市見物(けんぶつ)海岸では大正関東地震と元禄関東地震による隆起ベンチを調査しました(写真1)。また、約7200年前から現在までの地形形成を確認しました。勝浦市の海岸では、半島南部を東西に横切る黒滝不整合(約250~330万年前に形成)を観察しました。不整合面を挟む地層・地質は明らかに異なり(写真2)、大きな地殻変動を示しています。その他にも数多くの地形や露頭を観察し、時折ハンマーを使いながら地質の変化を手で確かめ、構造や形成過程について調査しました。
実物のスケールや感触を実際に体感した巡検の経験を今後の地震動研究に活かします。