研究活動(2008年)

地震リスク評価に関する研究

お客様の事業継続計画(BCP)策定支援のため、サプライチェーン地震リスク診断システムを開発しました。このシステムでは、日本全国で発生が予想される様々な地震を対象として、サプライチェーンを構成する各施設が許容中断期間を超える確率のみならず、サプライチェーン全体で将来の特定の期間(例えば今後30年間)に許容中断期間を超える確率、および事業中断に対する各拠点施設の影響割合を評価できます。

図1では、埼玉を最終的な組立工場、他の工場を部品生産工場とした場合で、今後30年間に許容中断期間を超える確率は83%と評価されています。図2は、影響割合の大きい大阪と岐阜の代替施設をそれぞれ栃木と福島とした場合の結果で、許容中断期間を超える確率は43%へ低減されます。このように、サプライチェーンの中の弱点を知ることにより、効果的な対策の提案が可能になりました。

火災実験によるシミュレーションの性能検証

火災シミュレーションの性能検証のため、取り壊し前の建物を利用し、火災実験を実施しました。n-ヘプタン(油系の燃料)を燃焼させて煙を室内に拡散させ、温度、煙速度などを測定しました。火災シミュレーションシステムを用いて火災実験を再現した結果、煙の進展具合などがよく一致することが確認できました。

風況シミュレーションに関する研究

近年突風やビル風など局所的な風に対する関心が高まっており、地形による局所的な風を考慮しての風荷重評価に関して検討が行われています。そこで超音波風速計による風観測を実施し、複雑地形での風の特性について解析・検討しています。また、気象モデルとCFD解析を組み合わせて解析を行い複雑地形においても風向・風速などを正確に予測するシステムの開発を進めています。橋などのスパンの長い構造物が複雑地形に建設される際に、風の空間分布を考慮して風荷重を評価することも検討しています。