研究活動(2015年)

強震動予測の最新の取り組み
海溝型巨大地震に関する三次元断層破壊シミュレーション

2011年東北地方太平洋沖地震では、断層深部に強震動生成域が、また一方で断層浅部には大すべり域が推定され、 それまでM8クラスまでの地震では一致すると考えられていた強震動生成域と大すべり域に不一致が見られました。 この巨大地震における断層破壊現象を、動力学モデルを用いた三次元断層破壊シミュレーションにより再現しました。 これらの検討結果は、将来発生するであろう海溝型巨大地震の断層モデルの設定方法の高度化に役立てる予定です。

引用文献)Tsuda, K. et al.: Dynamic Rupture Simulations to Investigate the Behavior of Shallow Parts of Mega-Thrust Faults, AGU 2015 Fall Meeting.

高速鉄道トンネル微気圧波の対策工効果の予測

高速鉄道ではトンネル長や列車速度によっては、列車が突入したトンネルの反対側坑口から放射される微気圧波を低減する必要が生じます。 このため、微気圧波を低減する効果のある多孔板を配置した緩衝工が坑口に設置され、その多孔板の効果的な配置の検討が必要となります。 緩衝工は、列車のトンネル突入時に発生する圧縮波だけでなく、トンネル内を伝播した圧縮波が反対側坑口から放射されるときにも低減効果が働きます。
そこで、圧縮波の発生からトンネル内伝播、そして反対側坑口からの放射までを列車や緩衝工などの形状を再現した3次元圧縮性流体解析と 一次元波動伝播解析により評価します。これらの解析を用いて、あらゆるトンネル長で放射される微気圧波を効率的に予測することができる仕組みが作られています。 様々な多孔板配置に対して予測することで、微気圧波低減に効果的な多孔板配置を検討しています。

引用文献)本田ほか:超高速鉄道トンネルにおける微気圧波の評価および緩衝工の提案,土木学会論文集A1(構造・地震工学),Vol.71,No.3,327-340,2015.